2年後の”オフィス同時接続”
朝いちばん、オフィスのすみのディスプレイをのぞく。
ぱっと数えられるだけのデスクといすが並ぶ、ちいさな部屋が見える。
映っているのは、シナプスイノベーション名古屋オフィス。
ここ大阪オフィスと名古屋オフィスとを結ぶ「同時接続」ディスプレイだ。
ディスプレイにはパソコンがつながっていて、このパソコンで1日中、Web会議システムを動かしている。
はなれた場所ではたらいている人どうしが、まるで隣に座っているみたいにコミュニケーションするためのしくみだ。
カメラがずっとつながりっぱなしで、いまだれが席にいて、何をしているのか常にみえる。
ただ、音が流れっぱなしなのは気が散る人もいるので、マイクは基本、切ってある。
マウスをとってぱちぱちっとクリック、マイクのミュートを解除した。
「御園さん、御園さーん」
ディスプレイの中で、ノートパソコンに向かってうつむいていた髪の長い女性が、こっちを見て立ち上がる。
『おはようございますまふゆさーん』
シナプスが名古屋にオフィスを出したのは、つい1年前のことだ。
最初はメンバー1人だけ、レンタルオフィスの一室でスタートした。
この1年でちょっとずつお仕事が増えて、それじゃあ人も増やそうという話になった。
そしてすこしだけ大きくなった名古屋オフィスの一員として、御園さんは大阪から転勤していった。
「おはようございます。
このあいだお伺いした備品購入の申請書の件です。
あれ、押印したものをいちどPDFで送ってもらえませんか?
原本はあとから郵送でかまいませんから」
『わかりましたー。すぐ送りますね』
「はいはい、おねがいします」
おたがいぺこっと頭を下げたあと、またマイクをミュートにしようとマウスにさわった。
と、背中のほうから声が飛んでくる。
「御園さんすみません、ついでにこのあいだの契約の話なんですけれど」
わたしのほかにも、こまごま用事のある人がいるみたい。
マイクはそのまま、すっとディスプレイの前からどく。
(常時接続、ほんとなじんだなー)
Web会議システムをつかっての常時接続がはじまったのは、名古屋オフィスができたのよりもちょっとさかのぼって、2年くらい前だった。
そのときは大きなテレビをつかって、東京と大阪のオフィスをつないでいた。
それから今日まで、すこしずつかたちを変えながら、このしくみは続いてきた。
しばらく東西の営業どうし、つぎは大型プロジェクトのメンバーどうし、みたいに、必要にあわせてつなぐ場所が変わった。
オフィスに2つとか3つとか、それぞれ別の常時接続ゾーンができたりもした。
そのうちに、準備に手間のかかる大きなテレビじゃなく、小さなディスプレイを使うことが多くなった。
今はもう、いつどこがつなげられているんだか、わたしには追いつけないくらい、あたりまえのものになっている。
ななめ前で、営業さんとディスプレイの中の御園さんが話している。
2年前と比べると、みんなほんとうに慣れたなあと思う。
御園さんのうしろに映っているオフィスのようすをちらっと見る。
まだほんの何人かしかいない小さな拠点だけれど、ここからさらに2年後には、どうなっているかわからない。
Web会議だって、日本中いろんなところのお客さまとやりとりするようになったし、テレワークする人も増えているし、これからもっといろんな使いかたが出てきそうだ。
ふんわりと、2年先のシナプスにおもいを馳せる……。
(……のもとっても大事だけど、2年後のためにはまず今の仕事だよね。
備品申請書、PDFが来たらすぐ処理できるように準備しとこ)
名古屋の声を背中でききながら、席にむかってくるっとターンした。
・・・
ひさしぶりに古い記事を読みなおしてみたら、会社も自分もだいぶん変わっていてびっくりしました。
年々時間の過ぎるのがはやく感じられるようになるもの、というのを実感しています。
過去の”オフィス同時接続”に関する記事はこちら↓
東京⇔大阪 “常時接続”
https://www.synapse-i.jp/public-relations/201611133253
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まふゆさん
“まふゆさん”の中の人。
大阪オフィスの管理部門でこつこつ働きつつ、
ときどき社内ライター兼校閲ガールを務める。
本とお酒とNHK Eテレ「きょうの料理」が好き。