座席がない? ひきだしがない?(前編)
「おはようございまーす……、って、あれ?
今日、なんか人おおいですねえ」
ゆっくり扉をあけると、今日のオフィスはいつになくにぎやかだった。
飛びかう大きな声、普段見かけないおじさ……もとい、男性社員の皆さん。
「おはようございます、まふゆさん。
今日は東京の営業チームが来てるんですよ」
上長の川田さんがおしえてくれる。
なるほど、東京からやってきた歴戦のみなさまと、大阪本社の精鋭のみなさま。
ひとところに集まってなにやらご相談中なのですね。
……む。
(いつもわたしの座っているあたりが、おじさ……いや男性社員の皆さんでぎっしり……!)
オフィスのすみっこ、わたしの定位置が、いままさに戦場、もとい会議の現場になっているらしい。
すすっ。
川田さんのとなりの空席に、そしらぬ顔で座った。
シナプスイノベーションのオフィスには、ぜったいここに座るという席のきまりは基本的に、ない。
もちろん、「だいたいここ」みたいな習慣はあるけれど、必要ならいつでも席替えができるようになっている。
“フリーアドレス”というオフィスの使い方だ。
「あれ、ごめん。まふゆさん、そっちでいいの?」
気をつかって声をかけてくれた営業さんに、にこにこ顔をつくって返す。
「あーいえいえ! きょうは川田さんといろいろやりたいので!」
うそはついてない。つぎの新卒採用のスケジュールについてとか、パンフレットとかポスターのこととか、川田さんに相談したいことはたくさんある。
それならとなりに座ったほうが、まちがいなく話しやすい。
その日の仕事にあわせて、いちばん使いやすいところにすぐ座れる。
必要なら上司のとなりに陣どって、気兼ねなく話ができるのがこのスタイルのいいところだ。
「というわけで川田さん、ちょっといいですか?」
書類の束から必要なものをごそごそと探す。
遠くで始業のチャイムが鳴るのが聞こえてきた。
・・・
ちょっと待って、いつもとちがう席に座って、書類はデスクのどこから出てくるの?
と思ったあなたはするどい人です。その秘密は次回明らかに!
(この記事は、当社の取り組みを元にしたフィクションです。
登場人物・エピソードはすべて、“まふゆさんの中の人”の創作です)
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私たちは、製造業のためのソフトウェア開発会社、シナプスイノベーションです。
基幹システムの導入から、生産・物流等の見える化・自動化までワンストップで提案します。
経営層から現場層まで情報を一気通貫につなげられることが強みです。
まふゆさん
“まふゆさん”の中の人。
大阪オフィスの管理部門でこつこつ働きつつ、
ときどき社内ライター兼校閲ガールを務める。
本とお酒とNHK Eテレ「きょうの料理」が好き。