まふゆさんとシナプスの「ニューノーマル(新常態)」

まふゆのシナプス観察日記, 経験談・小話

お箸、スプーン、お茶碗、小鉢、お汁椀、順番にすすいで洗いカゴに入れる。
手を拭いて、マグカップにアイスティーをそそいで、エプロンを外す。

時計を確認、そろそろ始業。
マグカップをもってデスクに座り、パソコンを立ち上げる。
今日は月曜日、1日のはじまりは全社朝礼から。

Web会議室に入ると、もう150人を超える社員が集まっている。

(集まってるって言葉、自然に使うようになったなあ……)

実際には、150を超えるべつべつの場所で、パソコンに向かっているわけなんだけれど。

新型のウイルスが発生? とニュースでみた日、友だちの誕生日のお祝い、キャンセルしなかった。
地元の子から、ウエディングパーティーのおさそいも届いた。
まさかこんなことになるなんで、あのときは想像もしていなかった。

ありがたいことに、シナプスイノベーションの仕事は、基本的には自宅でもできるものだ。
わたしも何度か、台風なんかを理由にテレワークをしたことがある。

全社員が1ヶ月以上、っていうのははじめてだけど、思いのほかなんとかなっている。

『……はい、では、今週も1週間、よろしくお願いいたします』

社長の藤本さんのお話を伺い、マイクを切っているのに反射的に「おねがいしまーす」とつぶやいて、さて、次はわたしたち管理部門のミーティングだ。
物理的な会議室を動くわけじゃないから、ミーティングからミーティングへの移動がスムーズなのはけっこう助かる。

さて、入室。

『皆さまおつかれさまです』

総務の真田さんの声だ。

『本日オフィスには、宇都宮さんと真田が出社しています』

シナプスイノベーションの仕事は、基本的には自宅でできるもの。
ではあるけれど、少なくとも今はまだ、本当にすべて自宅で、というわけにはいかない。

『朝ついていた郵便は、ビジネスチャットに写真を載せたとおりです。
請求書もあるようなので、おいそぎでしたらPDFをお送りします。ご連絡ください』

できるだけテレワークで、できるだけ外出をしないで、と言われているいま。
お取引先さまとご相談して、お互いのために、ペーパーレスでのやりとりを進めている。
一部のハンコは、電子印に切り替えた。
請求書も注文書もPDFが増えて、郵便、FAX、減ったとおもう。

とはいえまだ、しくみ上紙でしかやりとりできないものはある。
紙の保管がどうしてもいるというお客様だって当然いらっしゃる。

このさわぎの何年か前から、ハンコ、いる? なんて議論も盛んになってはいる。
でも、じゃあ明日からハンコなんてぜーんぶいらない! って言えるだろうか。
だいじなハンコ、かっこつけのハンコ、わたしはちゃんと理解して押しているだろうか。

『法務の岬です。
本日夕方ごろ、A社さまから契約書が書留で届くはずですので、すみませんが受け取りをお願いいたします。
押印のほうは、私が出社する日におこないます』

だから、毎日交代で、だれかが会社に顔を出している。

(……ミーティング終わり、つぎは、えー……経営計画書にあたらしいページつくるんだったな)

経営計画書は、シナプスの方針、考え方、ルールなどなどを1つにまとめた冊子だ。
冊子といいつつ、いまは電子ファイルがメインになっている。

持ち歩いてペラペラめくることはできない、ささっと書き込みもできない……と、不便なところもある。
でも、内容を変えたり付け加えたりがすぐできるのはいいところだ。

(載せたいことのポイントは藤本さんにまとめていただいたから……。
あとはちょっと構成をととのえて……わかりにくいところは補足して……。
……えー、紙、紙……)

パソコン上には、藤本さんがくださったテキストファイルを、デスクの上では、考えを整理するのにいつも使っているノートを開く。
ほんとはマウスでぐりぐり書いたり描いたりできる電子ホワイトボードもあるんだけど、子どものころからどうしても、考えをまとめるのは紙とペンじゃないとうまくできない。

資料をチェックするのに、紙に印刷してペンで書き込みたいな、おうちにプリンタほしいな……と思うこともある。
テレワークはすきだけど、ペーパーレス向けじゃない気もする、わたし。

紙の上でガシガシとアイディアをまとめて、電子ファイルを書きかえて、電子で公開、ビジネスチャットでご案内。
デジタルとアナログを反復横とびしてる。

(ふう。今日もなんとか仕事、進められたかな)

経営計画書を更新して、ブログの記事を1本書いて、来週のミーティングの資料を作って、再来週のミーティングの資料も作って、アンケートフォームを1つ作って、業務マニュアルを1つ作って、営業さんのホワイトペーパーもちょっとだけチェックして。

テレワークだからって、とんでもなく仕事がおそくなったことはない、つもり。

(あとは……先週の買い出しの経費申請、遅れてる。やらなきゃ)

先週出社したとき、急きょ行かなきゃいけなくなった買い物のあと始末だ。

会社のスマホで、領収書を撮影。
社内システムに、写真を添えて、経費申請。
申請データをPDFにして、保管。

これまでは申請データを印刷して、領収書を貼り付けて、決まった日までに提出しないといけなかった。
でもこれなら、オフィスに戻る時間がない営業さんでもぱぱっと申請できる。
本社以外のオフィスから、月初にまとめて書類を送ってもらって、支払が間に合うように急いでチェックして……なんてことはなくなった。
テレワークでむしろ便利になった、そういうところも実際ある。

今回のことで、「いつか」と思っていた働き方のみなおしが、「いますぐ」やらないといけないことになった。
その結果、いらないものを除いて効率的になった仕事もある。
一方で、でもやっぱり紙がいる、場所がいる、人がいる、とわかった仕事もある。

少しずつ状況が落ち着いていっても、あの日より前となにもかも同じには、もう2度とならないとおもう。

紙は? ハンコは? FAXは?
同じ場所に集まって、マイクもカメラもなく話すことは?

そのときほんとうに必要なものはなにか、本質はなにか。
ひとつひとつ柔軟に、丁寧に、確実に、考えないといけないときなんだ、きっと。

・・・

ありがたいことに、一部の業務以外、在宅でお仕事ができています。
電気がつき、ネットワークにつながり、スーパーには食べものが並び、つかれた日にはデリバリーがあり、ひと休みするときに読む本も観る映画もある、いざというとき病院が開いている。
たくさんの方の力でいまの日常があるのだなと、感謝するばかりです。

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この記事を書いた人

まふゆさん

“まふゆさん”の中の人。
大阪オフィスの管理部門でこつこつ働きつつ、
ときどき社内ライター兼校閲ガールを務める。
本とお酒とNHK Eテレ「きょうの料理」が好き。

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