工場での工程管理とは?
こんにちは。
シナプスイノベーション 営業本部 中里です。
今回は、製造業での工程管理の話です。
工程管理とは、製造を計画・統制すること
「工程管理」とは、
「要求された製品を、しかるべき品質、適切な原価で、納期通りに“製造”できるように、設備、ヒト、モノを活用する管理活動」、
つまり、製造工程をQCDの観点から効率的に計画・統制することです。
ところで、「工程管理」とは別に、「生産管理」というコトバもあります。
「生産管理」は「工程管理」とどう違うのでしょうか?
「生産管理」とは、
「要求された製品を、しかるべき品質、適切な原価で、納期通りに“生産”できるように、設備、ヒト、モノを活用する管理活動」です。
ここでいう“生産”には、計画、設計、調達、製造、出荷まで、モノをお客様に提供するために必要な手順が広く含まれます。
つまり、「生産管理」とは、販売計画を立て、製品を企画し、受注し、原材料を調達し、製品を製造し、出荷し、売上を得るまでの一連のプロセス全体を管理することです。
よって、簡単に言えば、「工程管理」は「生産管理」の中の「製造」を管理する部分を指すことになります。
計画と統制で、QCDを最適化する
さて、「工程管理」は、「計画」と「統制」に大きく分けることができます。
ここでの「計画」とは、毎日の製造計画を立てることを指します。
製品をいつまでに、どのように製造するのかを計画します。
「計画」は、「手順計画」「工数計画」「負荷計画」の3つに分けられます。
手順計画
製品の「作り方」を決めることです。
製品の設計情報をベースに、作業の順序、方法、時間、使用する設備や場所、作業条件などを決めます。
工数計画
手順計画に基づいて、製造に必要な「仕事量」を明らかにすることです。ここでの「仕事量」は、「工数」とも言います。
製品ごとに定められた「標準時間」をもとに、必要な「工数」を、使用する設備別、行う手順(工程)別などで求めます。
「工数」が明らかになったら、それを実行するのに必要な設備やヒトの数を算出します。
負荷計画
「工数計画」で求めた設備やヒトの数と、現時点で保有している設備やヒトの「生産能力」を比較することです。
比較の結果、当初計画通りに製造するのは難しいとわかった場合、調整を行います。
「生産能力」が不足しているのであれば、まずは設備や人員を増やしたり、配置を調整したりします。
それでもまだ「生産能力」が足りない場合は「手順計画」を見直すことになります。
このようにして立てた「計画」の通りに製造するために、「統制」を行います。
「統制」は、「現品管理」「進捗管理」「余力管理」の3つに分けられます。
現品管理
「原材料」「部品」「仕掛品」「完成品」の在庫が、どこに、どのくらい、どういう状態であるのかを明確に把握することです。
これをきちんとしておかないと、「計画」を立てることも、「進捗管理」をすることもできません。
JISでは、「資材、仕掛品、製品などの物について、運搬・移動や停滞・保管の状況を管理する活動。現品の経済的処理と数量、所在の確実な把握を目的とする。現物管理ともいう」と定義されています。
進捗管理
製造の進み具合を把握して、予定通りに完了するように調整することです。
「手順計画」と実際の製造の進捗を比較して、遅れている場合は対策を行います。
JISでは、「仕事の進行状況を把握し、日々の仕事の進み具合を調整する活動。進度管理又は納期管理ともいう」と定義されています。
余力管理
「負荷計画」で想定している設備・人員の「生産能力」と実際に発生している製造上の「負荷」を調整します。余力とは、能力と負荷の差のことです。
能力に対して負荷が大きすぎる場合には計画を見直して負荷を下げ、逆に負荷が小さすぎてムダな「手待ち時間」が出ている場合にも計画を見直してこれを解消します。
JISでは、「各工程又は個々の作業者について、現在の負荷状態と現有能力とを把握し、現在どれだけの余力又は不足があるかを検討し、作業の再配分を行って能力と負荷を均衝させる活動」と定義されています。
IoTとシステムで、もっと精緻な工程管理へ
「工数計画」のところで、「標準時間」というコトバが登場しました。
これも工程管理に必要なコトバなので、もう少し説明しておきます。
「標準時間」とは、
「標準の熟練度である作業者が、既定された品質の製品を製造するために、一定の設備と作業方法により、通常の努力を払って、仕事を行う場合にかかる作業時間」のことです。
つまり、「標準」のスキルを持つ人がその製造工程を終わらせるのにかかる「時間」です。
工程管理では、納期までに必要なモノを作れさえすればいいのではなく、“適切な原価で”製造することも求められます。
そのためには、必ず原価計算が必要です。
原価計算において、「標準時間」は原価を見積りする根拠のひとつになります。
いくらする原材料をどれだけ使ったかと同じように、どの設備・ヒトがどれだけ働いたかも、原価に影響するからです。
「標準時間」の算出を誤り、原価計算に使った時間より実際の作業時間が大幅にかかったとなると、予定外に原価が膨らみます。赤字になりかねません。
そのため、工程管理においては「標準時間」がきちんと設定されていることが重要です。
しかし、実際にはいわゆる“勘と経験”に頼って「標準時間」を設定している会社も多いように思います。
また、過去1度決めた「標準時間」を見直さず、ずっと使い続けている例も見られます。
しかし、例えば機械の性能が良くなれば、実際の製造にかかる時間は短くなります。
にもかかわらず標準時間を変更しないままだと、原価の実績が不当によく見えてしまいます。
「標準時間」は、正確に設定し、環境が変われば改定しなければならないのです。
「標準時間」は、ストップウォッチなどで各作業の時間を計測し、それを元に分析を行って設定するのが一般的です。
しかし、人間の手でストップウォッチを押していると、タイミングがズレて正確に測定できないこともあります。
測定後の分析にも、専門的な知識が必要です。
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中里 真仁(なかざと まさひと)
宝塚歌劇をこよなく愛する生産管理&経営管理コンサルタント。
神戸生まれの神戸育ち。海を眺め、山へ登ることが好き。
関心あること、感心したこと、歓心を得た事を綴ります。