東京⇔大阪 “常時接続”
時計の針は17時半を指している。
そろそろ肌寒くなってきた今の時期、この時間に大阪オフィスの窓から見える景色は、もうすっかり日暮れあとだ。
『まふゆさん、まふゆさーん』
どこからか、わたしを呼ぶほそい声がする。
ぱっと顔をあげたけれど、こっちを見ている人は、このオフィスには1人もいない。
『まふゆさーん』
「あ、まふゆさん呼ばれてる」
営業さんがリモコンをとり、テレビの音量をあげてくれる。
『すみませーん』
それでずいぶん、声が近づいた。
テレビ画面には、東京のオフィスをバックに、東日本の営業・都築さんの、すらりとしたパンツスーツ姿が映っている。
「ごめんなさい気づかなくって! なんでしょう!」
メモをひったくって、テレビにたったっと近寄る。
シナプスイノベーションでは、はなれた場所にいる人とのコミュニケーションをスムーズにするために、いろいろなツールをためしている。
たとえば在宅の方とのやりとりや、お客様との会議にはよく、Web会議システム「Flexible Cost Saver(※)」を使う。
さらにさいきん、大阪オフィスと東京オフィスを常につなぐために、このテレビ会議システムを置くことになった。
今までのWeb会議とちがうのは、これは始業から終業まで1日じゅう、つながりっぱなしだということだ。
『お忙しいところすみません。
あしたのセミナーなんですけれど、ご参加の方の名簿はどこにありましたっけ』
ここ1年ほどシナプスイノベーションはセミナーの開催に力を入れ、ありがたいことにいろいろな方にご参加いただいている。
あしたは東京でERPについてのセミナーがあるから、その名簿がほしいってことだろう。
「あ、置いてる場所、いますぐメールしまーす」
ふたたびたたっと席に戻り、名簿の置いてあるフォルダの情報をコピーして、都築さんにメール、送信っと。
「送りましたー!」
『ありがとうございまーす!』
テレビの中の都築さんが、かわいく両手をあわせておじぎする。
いえいえー、と手をふって、わたしは席に戻った。
このやりかた、社内でいうところの“拠点間常時接続”の目的は、いまみたいに簡単に、はなれたオフィスのあいだのコミュニケーションをとることだ。
こんなちょっとしたおねがい、メールで書くと時間がかかるし、わたしがいつ読むかもわからない。
電話もわるくはないけれど、どうせなら表情や身ぶりをみて話すほうが、考えは伝わりやすい。
その点この“常時接続”なら、となりで仕事をしているのと同じように話しかけられるから、時間もかからないし、確実だというわけだ。
パソコンを開くと、さっき送ったメールに都築さんから返事が返ってきていた。
ひとこと、「ありがとうございました!」だけ。
わたしへの連絡はこれでじゅうぶん。
あとは明日のセミナー、応援してます。
・・・
まふゆさんの中の人、はじめはテレビから名前を呼ばれるのに慣れなかったのですが、最近は電話より緊張しなくていいやと思うようになりました。
(この記事は、当社の取り組みを元にしたフィクションです。
登場人物・エピソードはすべて、“まふゆさんの中の人”の創作です)
※:「FlexibleCostSaver」…シナプスイノベーションが販売するWeb会議システムです。
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私たちは、製造業のためのソフトウェア開発会社、シナプスイノベーションです。
基幹システムの導入から、生産・物流等の見える化・自動化までワンストップで提案します。
経営層から現場層まで情報を一気通貫につなげられることが強みです。
まふゆさん
“まふゆさん”の中の人。
大阪オフィスの管理部門でこつこつ働きつつ、
ときどき社内ライター兼校閲ガールを務める。
本とお酒とNHK Eテレ「きょうの料理」が好き。