管理職教育 ~行動科学マネジメント編~
皆さんおはようございます。シナプスイノベーション代表取締役社長の藤本です。
昨年の後半くらいから、弊社の管理職に向けて、マネジメントについての勉強会を始めました。
当社では、人材教育の枠組みとして、『7つの習慣』という書籍と、やる気や感情ではなく行動にフォーカスし、誰にでも同じように適用できるマネジメント手法「行動科学マネジメント」のメソッドを活用しております。
今回のブログでは、「行動科学マネジメント」のメソッドの一部を紹介します。
仕事の成果が出ない原因はたった2つ
「行動科学マネジメント」では、期待された成果が出せない人や、教えた仕事をいつまでも覚えない人がいるとき、その問題の原因はたった2つしかないとされています。
1つ目は、その人が仕事の「やり方をわかっていない」こと、2つ目は「やり方がわかっていても継続できないこと」です。実にシンプルな考え方です。
しかし実際の現場では、物事を複雑怪奇にとらえる傾向があり、モチベーションが足りないのでは? とか、組織の枠組みに問題があるのでは? とかいうことに着目して、大げさなアプローチをとりがちです。
そうしたアプローチが結果に繋がることもありますから、否定するつもりはありません。
ですがもし、そもそもやり方がわからないために仕事ができないのだとすれば、いくら動機づけを行っても効果は期待できません。
今回はまず、「やり方がわからない」人へのアプローチについてみていきましょう。
「仕事」を「行動」に分けていく
行動科学マネジメントの考え方では、期待された成果が出せない人(チーム)がいるときには、その人(たち)が、やり方を理解しているかに焦点をあてます。
まったく仕事ができていない、成果が出ていない場合だけでなく、本当はやり方を理解できていないけれども、誰かから言われたとおりに動いて、とりあえずの成果が出ているといったケースもあり得ますので、注意が必要です。
正しいやり方を理解しているか知るために、まず対象となる仕事を極限まで分解します。「資料を作る」と一言でまとめてしまいがちな一連の「仕事」を、1つ1つの「行動」に分けていくのです。
分解できたら、うまく成果を出せていない人の仕事を観察します。
このとき、逆に仕事のできている人の行動もあわせて観察すると、両者の違いが見えてくるでしょう。
違いのある箇所が、仕事のできない人が、やり方をわかっていない部分です。
あとはその部分について、方法を教えるというアプローチをとれば良いのです。
方法を教えるときに気をつけるべきなのは、いきなり「仕事」全体をできるようにさせるのではなく、「行動」を1つずつ改善することです。
人は、掲げる目標があまりに遠いとつい、できない理由探しを始めますが、近くに見えているゴールに向かってなら、簡単に最初の一歩を踏み出せるものなのです。
この一歩の踏み出しをたくさん積み重ねて、最終のゴールに導くように心がけます。
系統的脱感作
行動科学マネジメントでは、こうした小さなゴールをサブゴールと呼び、サブゴールの積み重ねで段階的にゴールを目指すことを系統的脱感作と呼びます。
系統的脱感作とは、元々恐怖症や不安障害を治療するための行動療法で、恐怖の対象を、弱いものから強いものへと順番に思い浮かべ、段階的に克服していくことを指します。
一般での具体的な活用事例として、スイミングスクールで子どもに泳ぎを教える方法が挙げられます。
スイミングスクールでは、泳ぐという最終目的に対して、泳ぐための水への不安(恐怖)を解消するために、様々な段階を設けています。
まずは、顔を1秒間水につけてみる。
次に顔を5秒間つけながら、顔をつける前に口で吸いこんだ空気を鼻から出してみる。
次に、足の届くくらいの水につかってみる。
その次に、水につかりながら、顔を1秒間つけてみる……と言った具合です。
行動科学マネジメントでの系統的脱感作の場合、対象は恐怖や不安ではなく、できない仕事です。
サブゴールを積み重ね、段階的にゴールに近づいてゆくということは、誰にでも、いつでも使える大変有効な手法なのです。
以上のような行動科学マネジメントのメソッドは、できない人をできる人にするだけでなく、さまざまな場面で応用可能です。
たとえば当社では、障害者の雇用を生むために、「仕事」の「行動」への分解という考え方を用いました。
社員が一連の「仕事」と認識していたことを「行動」レベルに分解し、専門知識がなくてもできる「行動」を障害者の方の仕事として抽出したのです。
実際の業務中にも、サブゴールを設定して段階的な指示を出すという手法を実践しています。
他にも、一定個人に負荷が集中する状態の解消とか、仕事の属人性の排除など、いろいろな活用が考えられます。皆さんも是非試してみてください。
・・・
長くなってしまいましたので、仕事ができない理由の2つ目、「やり方がわかっていても継続できないこと」については、別の機会にお話させていただきます。
貴社の課題、私たちに相談してください。
私たちは、製造業のためのソフトウェア開発会社、シナプスイノベーションです。
基幹システムの導入から、生産・物流等の見える化・自動化までワンストップで提案します。
経営層から現場層まで情報を一気通貫につなげられることが強みです。
藤本 繁夫
株式会社シナプスイノベーションの社長をしています。
時空を超え、国境を超え、業界の常識を超え、びっくりポン!なアイデアを発信します。