管理会計は想像の世界?
おはようございます。
シナプスイノベーションの中里です。
今回も原価管理の話をしたいと思います。
テーマは、原価管理とヒトの“おもい”です。
原価管理は、財務会計・管理会計と密接に関わるもの
原価管理は、財務会計・管理会計と密接に関わるものです。
では、財務会計と管理会計の目的はなにかというと、
- 財務会計:会社の経営状態を外部の利害関係者(ステークホルダー)へ開示する事です。そのために財務諸表・決算書類、つまりB/S、P/L、キャッシュフロー計算書、株主資本変動明細書などを作ります。
- 管理会計:経営判断の材料を用意する事です。内部の業務プロセスのデータなどを分析・予測し、経営計画・事業計画に活かします。
このようにそれぞれ目的は異なるのですが、どちらにしても原価の情報は重要な意味を持ちます。
財務会計では経営状態をきちんと外部に伝えるため、管理会計では適切な経営判断をするために、正確な原価を計算する事が求められます。
管理会計では、未来の原価も計算する必要がある
ただ、1つ大きく違うのが、財務会計では過去の原価計算が重要であるのに対して、管理会計では、未来の原価も計算する必要があるということです。
未来の原価がわからなければ、未来の経営計画・事業計画を立てられないからです。
過去のデータを使用して原価を正確に計算することを、実際原価計算と呼びます。
これに対して、未来の原価を予測して計算することを、予算原価計算と呼びます。
既に起きたことから数字を導き出す実際原価計算と違い、予算原価は、何を基に計算するのかが大切なポイントです。
未来を予測するとなると、来期の需要、市場の拡縮、天候、イベント、社内のリソースの変化、などなどいろいろなファクターが考えられます。
予算原価は、考えたヒトの“おもい”が反映される
予算原価は、こうした様々な条件を考慮したシナリオを事前に用意し、そのシナリオに基づいてシミュレーションします。しかも、シナリオは複数立てる必要があります。
過去の実績どおり推移するとどうなるか? ネガティブな要因がある場合はどうなるか? ポジティブな要因がある場合はどうなるか?
それぞれのシナリオに沿って原価を計算します。
このシナリオ、将来はわかりませんが、今は主にヒトが考えています。
ですから、考えたヒトの“おもい”が反映されます。
「おもうこと」を意味するコトバはたくさんあります。
まず一般的なところで、「想像」というコトバが挙げられます。
- 想像 Imagination
実際には経験していないことをおもうこと、または現実には存在しないことをおもうこと。
さらに、
- 妄想 Delusion
現実にはあり得ないことをあたかも現実に起こっているかのようにおもい囚われること。ネガティブで被害意識が強いことをおもう傾向があります。
- 空想 Fantasy
現実にはあり得ないことを憧れや強い興味を持っておもっているが、現実との違いも理解していること。小説でいえばSFなどが「空想」の世界だとおもいます。
- 夢想 Dream
現実とは関係なく、夢や希望など、胸をおどらせることがらをおもうこと。つらい現実からの逃避の傾向が強いので、浮かんでくるイメージは超ポジティブです。
- 理想 Ideal
これ以上求めることができないほど完成されたおもい、そうあってほしいという最高の状態をおもうこと。ほかのおもいと違って、現実に立脚し、それに対してあるべきあり方をおもいます。
原価計算をするヒトの心にも、妄想的、夢想的、理想的、いろいろな“おもい”があります。
どんな“おもい”から出発するかで、導き出される結果は大きく変わります。
想像力が豊かなヒトほど、導き出される結果がポジティブになる
予算原価を考えるとき、想像力が豊かなヒトほど、導き出される結果がポジティブになる傾向があるそうです。
想像力の豊かなヒトは、まず理想的なシナリオを描き、それに沿った計算をして、1年後、2年後、3年後の財務諸表をイメージするからです。
こうした人は、理想的なシナリオを夢物語とはおもいません。
現実から理想に到達する方法を考えるのではなく、理想に現実を近づけるための方法を考えるからです。
想像力が乏しいヒトは、現実を基準に、簡単に実現しそうな未来を選ぶ
想像力が乏しいヒトは、現実を基準に、簡単に実現しそうな未来を選びます。
ですから理想的なシナリオをおもい浮かべても、“到達できるわけがない”と諦めてしまいます。
それどころか、理想を描くことさえできないかもしれません。
想像力を鍛えるには、日常から離れることが必要
ここで重要な事は、“到達したい理想”は、おもうだけではただの“夢想”だということです。
想像力の豊かなヒトは、ただ理想をおもうのではなく、おもったことに近づくための努力を欠かしません。それでこそ、理想に近づく事ができます。
理想的な未来を手に入れるには、想像力を高めておもい描くこと、そしておもったことのために行動する事が重要なのです。
原価計算だけでなく、あらゆる場面で同じことだと思います。
ある本によると、想像力を鍛えるには、日常から離れる事が必要なんだそうです。
毎日、同じ事を繰り返し、行動がパターン化されていると想像力は働かないといいます。
日常から離れるには勇気が必要です。
いつもやっていることとはちがうことをするわけですから。
ですがたまには勇気をだして、日頃とはちがう事をやってみてはどうでしょうか?
たとえば通勤のとき、いつもとは違う車両にのってみるとか……。
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中里 真仁(なかざと まさひと)
宝塚歌劇をこよなく愛する生産管理&経営管理コンサルタント。
神戸生まれの神戸育ち。海を眺め、山へ登ることが好き。
関心あること、感心したこと、歓心を得た事を綴ります。