「在庫管理」はERPの効果のひとつに過ぎない

ERPを導入して、倉庫にうず高く積まれた過剰な在庫を減らしたい。

そんな企業はいまだに多いです。

弊社に送られてくるRFP(※)で、「適正在庫の実現」といった文言が書かれていないものは見たことがないほどです。

(※RFP:提案依頼書。お客様のシステム導入の目的や、求めるシステム要件が書かれています)

“過剰に在庫がある”。

つまり、その企業はいったい何をいつどれくらい作れば(あるいは仕入れば)良いかが見えていません。

見えていないから、保険のためにとにかく工場をフル稼働させたり、大量ロットでモノを仕入れたりします。

そうすれば、とりあえずモノの数は目に見えて充足されていきます。

そのうえ、生産した(あるいは仕入れた)モノ1個当たりの原価は下がったように見えます。

そしてひとまずは安心することができるのです。

しかし、その安心はつかの間のものでしかありません。

売れないモノは滞留在庫になります。

つまりそれは、貴重なキャッシュが「売れるまで維持管理費がかかるだけの困ったモノ」に形を変えてしまったということです。

モノの原価が下がっているように見えるのも、あくまで「会計上の見かけ」に過ぎません。

現場はいつも忙しいのに、売上は上がらず、キャッシュは減っていき、倉庫は在庫であふれているのに、顧客がほしいモノはなぜか無く、要求された納期には間に合わない……。

どこかで聞いたような話ではありませんか? もしそれが自社の会議でなら、今すぐ何かを変えなければなりませんね。

手前味噌ですが、弊社のようなシステムインテグレータの力を借りてERPをちゃんと活用すれば、全社の企業活動が一元管理でき、受注、生産、仕入の予定なども見える化できます。

予定が見えれば、適正な生産・仕入を行うことができるようになります。

在庫は適正な数に抑えられ、めでたくキャッシュフロー経営の実現、ということになりそうです。

しかしながら、現実はそう甘くはありません。

ERPの力を最大限に生かし、経営資源の管理を徹底的におこなうと、それまでフル稼働していた工場や、大量のモノをさばいていた物流、ノルマのためにモノを売り回っていた営業、忙しく事務作業を行っていたバックオフィスのいずれか、あるいは全てに、必ず「余剰能力(人員)」が発生します。

工場、倉庫の稼働率の低下や、余剰人員の発生は免れないのです。

こういう話をすると、「欧米なら余剰人員をレイオフ(解雇)して人件費が削減できてめでたしめでたしだが、こと日本ではそうはいかない」という声が聞こえてきそうです。

しかし欧米でも、ERPを導入するには現場の協力が不可欠です。

ですから、ERP導入の際に首切りは絶対にしない、と経営者が従業員と約束する場合が実は多いのです。

では、ERPを導入すると余る生産能力・人員はどうするのがベストプラクティスなのか?

そもそも、在庫を減らしたり、人件費を削減したりしたところで、多少利益をねん出できたとしても、限界があると思いませんか?

おそらく、せいぜい売り上げの数%。それで、数千万、数億円かけたERPの投資を回収するのに何年かかるでしょうか。

ERPの真のパワーは、「在庫の適正化」や「コスト削減」だけにとどまりません。

ERPの本質は「会社の収益を大幅に改善するための道具」です。

会社の収益を大幅に改善するには、「適正な生産・仕入」「適正な人員配置」「適正なマーケティング」のすべてが必要条件です。

ERPはそれらを行うための指標を示す道具です。「適正在庫数」もその「指標」のひとつに過ぎません。

指標をどう経営に活かすかは、経営者の手腕にかかっています。弊社は、それをサポートするのが仕事です。

さて、ERPを導入して、生産・仕入を適正化すると余ってしまう、生産能力・人員はどうすれば、収益を大幅に改善できるのか?
一度考えてみてください。