IT業界というこまった業界(後編)
ひょんなことから新卒採用のヘルプをすることになった長井。
学生たちにIT業界の暗い面をあえて説明します。
※前編はこちら
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「IT業界の2大悪といわれているのが、“人月商売”と“多重下請け構造”です。」
「ニンゲツショウバイってなんですか?
多重下請けは何となくわかりますけど……。」
学生が訊いてきます。
「まず“人月”というのは、システム開発の見積もりに使われる仕事のボリュームのことです。
たとえばあるシステムをつくるのに5人がかりで12ヶ月かかるとします。
するとこのシステム開発の仕事のボリュームは
“5人 × 12ヶ月 = 60人月”
というふうに計算します。
で、仮に1人月あたりの単価が100万円なら、そのシステムの価格は
“60人月 × 100万円 = 6千万円”
になります」
「なるほど」
「価格の根拠が、“何人”が“どれくらい働くか”だけだというのがこのモデルの特徴です。
身も蓋もない言い方をすると、時給ではたらくアルバイトの仕組みと大差ありません」
「言われてみれば、そうですね」
「仕事のボリュームに応じてお金をいただくと聞けば普通ですが、裏を返せば、お客様の要求を上回るシステムを少数精鋭で短納期で仕上げるA社の見積より、お客様に言われたことだけを大人数で長期間かけて完成させるB社の見積のほうが高くなるという変な話です」
「つくっているシステムがどれだけお客様のためになるか考えずに言われただけの仕事をしてしまいそうですね」
「お客様のビジネスをよく知らなくても、仕事のボリュームをきちんと見積もって見積もったぶんの仕事だけきちんとこなせば一定の利益を得られるという、ある意味、低リスクのモデルです。
でも弊社はこれから、人月商売の考え方から脱却して、お客様の利益を生み出すシステムを短納期で納めてその価値に対してお金をいただく考え方にシフトしていきます。
さきほどの例でいうと、A社のようになりたい。
その方が本当の意味でWIN-WINですから」
「なるほど~」
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もうひとつの常識“多重下請け構造”については話が長くなりそうですのでまたの機会にしましょう。
ではまた!
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私たちは、製造業のためのソフトウェア開発会社、シナプスイノベーションです。
基幹システムの導入から、生産・物流等の見える化・自動化までワンストップで提案します。
経営層から現場層まで情報を一気通貫につなげられることが強みです。
長井 建(ナガイ タケル)
株式会社シナプスイノベーションのマーケティング担当。毎朝、嫁に寝ぐせを直してもらっている。
座右の銘は「仕事は遊び、遊びは仕事」。奈良の前方後円墳のふもとで育った。