生産性向上に取り組む新しい考え方

シャローシのお仕事, 人事・労務

 

新聞に載っている「労働時間」の字を、今朝もちらりと目の端にとらえたまふゆさん。

新聞から顔を上げると、お弁当を食べながら眉間にしわを寄せて本を読むシナプスイノベーションの社労士浅尾さんの姿が目の前にありました。

 

・・・

 

「浅尾さん、その本、『生産性』ってタイトルですね。
新聞に載ってる「労働時間」問題の解決法が書いてあるんですか?」

 

「解決してくれるかどうかはわからないんですけれど、ヒントになればいいなと思って。
最近、新聞で労働時間問題についての記事を見かけない日の方が珍しくなっていますよね。
政府の掲げる働き方改革がどのような全貌になるのかまだ定かにはなっていないのですけれど、少しずつその輪郭は見えてきたように思います」

 

「そういえば、残業時間の問題で書類送検されたとか、また報道されていましたね」

 

「残業時間については、労働基準法を改正した上で、長時間労働が長期間に及ぶことのないよう新たな上限規定を設けるという話も出ています。
政府が求めている方向性が、労働時間減にあることは明らかですので、それをいかに実現可能な形に落とし込むのかが、企業の喫緊の課題となっているんですよね」

 

「そういえば、書店の平積みコーナーも、生産性に関する本がたくさん置かれていましたよ。たくさんありすぎて目移りしちゃいました。
今浅尾さんが読んでいる『生産性』って本は、どんな内容なんですか?」

 

「これは、元マッキンゼーで、長く人事に関わっていらした伊賀泰代氏の著書です。
人事の目で生産性を考えるという切り口の本なのですが、ホワイトカラーの生産性を考え直すヒントになりそうです。
日本では、人を育てるというのは生産性向上と相反することだと考えられがちなのですが、実はそれこそが生産性向上に繋がることを示唆しています。

若い社員の成長を促すことで生産性が向上するのは想像に易いと思いますが、それだけではなく中高年社員の成長を後押しする考え方も紹介されており、斬新です」

 

「いいですね。一社員として、何歳になっても成長の伸びしろがあると期待し続けてもらえる環境にいられることは、幸せだろうなとイメージができます」

 

「あと、もう1冊あって。
『脳を最適化すれば能力は2倍になる』、これはまだざっとしか目を通していないんですけれど」

 

「えっ、まだ読み切っていない本をブログで紹介しちゃうんですか? それこそ斬新です」

 

「だってあまりにもおもしろそうで、次はこれだと考えるだけでドーパミンがたくさん分泌されてくるんです。

生産性を高めるためのアプローチって、大きく2つに分類できるんですよね。

1つめが業務の見直しを通してムダを取り除くことで、時間短縮を目指すもの。
有名なトヨタの生産方式もこちらのアプローチです。
もうひとつが、個人のパフォーマンス向上をもって時間短縮を目指すもの。

1つめの業務の見直しは、既に多くの企業が取り組まれてきたことでしょう。これ以上もう絞りだせないという声も聞かれます。

そこで、もうひとつの個人のパフォーマンス向上に目が向いてくるわけなのですが、この本は、自分のものなのにあまり理解されていない脳の仕組みに着目することで、『脳を自分のコントロール下におき、状態を最適化してパフォーマンスを上げましょう』というコンセプトで書かれています」

 

「脳の最適化、興味があります。
先日テレビで劇作家の倉本聰さんが、一気に集中して作品を書き上げた後、その反動で脱力して吐き気に襲われるなんておっしゃっていました。
私はそこまでではないんですが、やっぱり集中力には日や時間によって差があるので、それをコントロールできるだけの知識があると役に立ちそうですね」

 

「読み終わったらお貸ししますね」

 

「楽しみにしています!」

 

・・・

 

労働時間に関する労働基準法の改正は国会の通過を待ってとなりますが、改正を前に厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」があらためられました。

 

人を雇用している全ての方に目を通していただくべき内容ですので、ご確認ください。

 

・・・

 

ご紹介した本:伊賀泰代氏著『生産性―マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの』 ダイヤモンド社

樺沢紫苑氏著『脳を最適化すれば能力は2倍になる 仕事の精度と速度を脳科学的にあげる方法』 文響社

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浅尾
この記事を書いた人

浅尾 美佳(あさお みか)

食べてしゃべって走る、特定社会保険労務士。
使命は社内平和と世界平和。
ジョージ・クルーニーの嫁に憧れています。

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