仕事を小分けにすると皆が幸福になる

メンバーが、Webブランディング戦略のセミナーを受けてきました。
月曜日の面談時間になってそれを思い出し、報告を受けることにしました。

「そういえば、先週のセミナーはどうだったの?」

「はい。企業向けのWebブランディングを手掛ける会社の人が講師で、ある案件の事例をベースに話をされてたんですが、熱い話で面白かったです」

「なるほど。具体的に何が勉強になりました?」

「えっと、広告とウェブサイトは別物だと考えることが大事だということが勉強になりました!」

「へぇ~、それって、具体的にはどういうこと?」

「広告っぽい表現は広告だけで使うようにして、ウェブサイトにはお客様がほしい情報を、誇大表現なしで、わかりやすく、詳しく伝えることが大事だということみたいです」

「あー。そうですね。広告っぽいのはお客様が嫌いますからね。
でも、うちのウェブサイトも正直ちょっと広告っぽいところがちらほらあるよねぇ」

「はい・・・・・・」

「他には?」

「えーっと・・・・・・」

これ以上の内容はセミナー情報の流出になるので書くのを控えますが、彼女はメモを取ったノートを見ながら、いくつかセミナーの要点を教えてくれました。

「OK。だいたいわかりました」

「はい。・・・・・・勉強できたことは、これくらいです・・・・・・」

「うん」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

ちょっと待ってみましたが、話の続きが彼女の口から出てこないのでうながしてみました。

「で、具体的にはこれから何をしていこうと考えてるか、教えてくれますか?」

「あ、はい。まずは、他社のウェブサイトも色々参考にしながら、うちのウェブサイトの文言を見直したいと思います」

「いいですね。じゃあ、今週いっぱいで、具体的にいつまでにどのページをどんな感じにするか、計画をつくってまた私に報告してもらえますか?」

「わかりました!」

・・・

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、私は部下の報告を聞いたり仕事を指示したりするときに「具体的に」という言葉を多用します。

そうすることで、あいまいな感想、漠然とした思いから、よりクリアな課題や「行動」レベルのタスクを引き出せます。

逆にそうしないと、単に、面白かった、勉強になった、こう思った、で終わってしまいます。

たとえば今回は、セミナーに対する部下の感想から、「ウェブサイトの文言を見直す」という目標(ゴール)を引き出すことができました。

そして、まずは「計画を立てて報告をする」というサブゴールを与えました。

「ウェブサイトの文言を見直す」というゴールに向けて計画を立てることで、そこに至るまでの数々の小さなタスク=サブゴールも見えてきます。

小さなタスク1つにかける時間は、長くても5時間未満になるようにしています。

5時間を越えそうなタスクは、どこかで線を引いて複数の5時間未満のタスクに分解します。

そのようにして毎日何らかのサブゴールを達成してもらうようにしています。

私は、「“叩き台完成”とかでいいから何か1つは1日で終わるタスクにまで分解してね」ということをよく言います。

毎日1つ以上のサブゴールの積み重ねが、たとえば「ウェブサイトの文言の見直し」、さらには「ウェブサイトの効果的なリニューアル」というような次のゴールに繋がっていきます。

日々の仕事を小分けに、クリアにすることで、部下は不安なく目の前の仕事に集中することができますし、日々サブゴールを越えるたびに小さな達成感を得ることができます。

進捗報告を受ける方は、小さなタスクなら遅れに対して対策が打ちやすいというメリットがあります。

つまり、皆がハッピーになります。

従業員の幸福感が上がると、会社の業績にも良い影響があるということは、以前述べました。

「従業員に報酬を与えるときは小出しにし、逆に罰則を科す場合は一気にやってしまうのが、従業員の幸福感の持続に効果がある」といった実験結果もあるそうです。

昇給は、できるだけ小刻みに、不平等に行うこと。そうすれば従業員の幸福を長く保てる。(Books&Apps)
http://blog.tinect.jp/?p=40665

給料のことはともかく、タスクを小分けにして「達成感」という報酬を小出しにし、従業員の幸福感を高めてパフォーマンスを上げ、最終的に会社の業績向上を見込む、というアプローチは、経営・マネジメントの観点から見て正しいように思います。

そして私は、会社の業績が上がれば、従業員の幸福感がさらにあがる、という好循環が生まれることも期待しています。