日をまたぐ勤務の扱い方

シャローシのお仕事, 人事・労務

 

 

少しずつ、外の風景が明るさを取り戻しつつある1月の、とある平日の18時過ぎ。シナプスの社員も次々と家路についていきます。

その流れに逆らうように、2年目社員の元倉さんが米俵のような袋を抱えて入ってきました。

ちょうど帰ろうとしていたまふゆさんと遭遇して話しこんでいるところに、シナプスの社労士 浅尾が通りかかりました。

 

・・・

 

まふゆさん(以下、“ま”)「浅尾さん、見てくださいこの米俵……もとい、寝袋!」

 

浅尾(以下、“浅”)「あら元倉さん、これからキャンプなんですか? なんだかうれしそうですね」

 

元倉さん(以下、“元”)「えへへ。実は今日、夜会社に泊まることになったんです。
一晩中働いていたとか、寝袋持って会社に泊まったとか、いかにもIT企業っぽいじゃないですか。1度やってみたかったんですよね」

 

浅「確かに、以前はそうした働き方がIT企業のステレオタイプになっていましたよね。
その体質を脱却するために、藤本さんはじめ古くからシナプスを支えてきた社員が一丸となって、下請けから元請け企業へ、そしてとうとうメーカーへと進化し続けてきたから今があるのですが。それにしても、泊まりだなんて今日はどうされたんですか?」

 

元「どうしても夜間でなければ手を入れられない作業があるんです。
何人か夜出てくれないかって言われたので、両手を挙げて立候補してしまいました。
19時から明日の朝4時まで作業予定なので、仕事が終わってから、この寝袋にくるまって始発を待ってみようと思っています」

 

ま「要は、寝袋体験したかったってだけのために、米俵みたいな荷物を持ってきたわけね。
ところで浅尾さん、元倉さんみたいに今日から明日にかけて仕事をする場合って、2日分働いたことになるんですか?」

 

浅「労基法では、1日を午前0時から午後12時までのいわゆる暦日で考えます。
但し、今回のように勤務時間が午前0時をまたいで2暦日にわたる場合は、1勤務日として扱うこととされています。
その場合、始業時刻の属する日の勤務として扱われることになります」

 

ま「今日(木曜日)の夜から明日(金曜日)の朝にかけての仕事は、木曜日の勤務として扱われるということですね」

 

浅「そのとおりです。ただ、2暦日の2日目が法定休日である場合は注意が必要なのよ」

 

ま「法定休日! ちゃんと覚えています。シナプスの場合は日曜日が法定休日でしたよね」

 

浅「1年以上前にお話したことなのに、ちゃんと覚えていてくれてたんですね。
2日目が法定休日である場合は、午前0時以降の勤務について休日割増手当を支給する必要があります。
勤務日自体は法定休日の前日の扱いになっていますので、給与計算時に見落とさないよう注意が必要ですね。
勤怠管理ソフトを使っていれば、たいてい自動的に振り分けてくれるから大丈夫なのですが」

 

ま「何かトラブルが起こって、翌日も丸1日作業が続いたとしても、やっぱり勤務日は1日の扱いになるんですか?」

 

元「ちょっとまふゆさん、そんな予言みたいな質問やめてくださいよ。念願の寝袋に入れなくなっちゃうじゃないですか」

 

浅「そうならないことを願っていますが、所定勤務時間の始まる時間、元倉さんの場合9時以降については、翌日の勤務として扱うことになります」

 

ま「19時~明日の9時までは今日の仕事、明日の9時以降は明日の仕事、ということですね。この場合は継続して働いていても、2日働いたことになるんですね」

 

元「まふゆさん、何ですかそのニヤニヤ顔は。ご期待に沿う気はありませんよ。明日は始発で帰ってそのまま有休をとる予定にしているんですから! 週明けの報告を楽しみにしていてくださいね」

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浅尾
この記事を書いた人

浅尾 美佳(あさお みか)

食べてしゃべって走る、特定社会保険労務士。
使命は社内平和と世界平和。
ジョージ・クルーニーの嫁に憧れています。

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