まふゆさんと、ワークサポーターさん奮闘記(前編)

まふゆのシナプス観察日記, 弊社の取り組み

 

ちょんちょん、と左の肩をつつかれる。
首をかたむけてみると、となりの席の宇都宮さんがわたしをみていた。

 

「まふゆさん、えっと、受注一覧画面、できました」

 

「お! 見せてください~」

 

宇都宮さんのディスプレイをのぞく。
ブラウザの左上に「受注一覧画面」の文字、検索条件を入れるところ、検索結果の一覧、ボタン……。

 

「いいかんじですね、みたとこレイアウトもくずれてないし。
こまかいところチェックしようと思うので、画面のファイルをわたしに送ってもらっていいですか?」

 

「はい! ありがとうございます」

 

宇都宮さんはシナプスの「ワークサポーター」。
まわりの人たちが仕事をスムーズにすすめられるように、必要なことをあれこれやってくれる、会社全体のサポートチームだ。
わたしのお仕事のひとつに、このチームとまわりの人のあいだに立って、タスクをととのえ、まわしていくことがある。

 

ワークサポーターのおおきな役割として、おそうじやファイリング、資料づくり、書類のチェック、お茶だしなんかがあるけれど、そもそもは「その人じゃないとできないこと以外、なんでもひきうける」チーム。
だから開発のチームからたのまれて、プロジェクトのお手伝いをすることもある。
データの入力、ちょっとしたコードのチェック、それから画面や帳票のたたき台づくり。

 

いま宇都宮さんたちは、あるプロジェクトのために画面のたたき台を開発している。
開発といっても、「画面に出したいパーツをつくって」「きれいにならべる」だけだ。
むずかしいプログラミングはしないし、まっさらなところにごりごりコードを書くんじゃなくて、テンプレートやべんりなツールをつかう。
だから、プログラマーのいないワークサポーターチームでもできる……。

 

のだけど、とはいえ経験のない人たちが、だれでも、確実に、はやく作業するには、ちょっとくふうがいる。

 

 

さかのぼること10日まえ。
わたしはプログラマーの高原さんに、メモでびっしりの紙をもって声をかけた。

 

「かんたんなことばっかりでもうしわけないんですけど、とりあえず7点うかがいたいです。
まず、この左上のとこ、あ、タイトルバーじゃなくてこっち、ここに出す文字ってどこで設定してるんですか?」

「プロパティに入れるところがあって……でね、ここじゃないんですよ。
ここあやしいからだまされるでしょ、でもプロパティって実はもうひとつあって」

「あ、あー。なるほどなるほど。だまされてました」

 

宇都宮さんたちに開発をはじめてもらうまえに、わたしはまず自分で1つ画面をつくってみていた。
ひととおり流れがわかっていないと、きちんと指示をすることができないからだ。
自分にわからないことを、おなじようにわかっていない相手にはたのめない。

 

かんたんなレクチャーだけしてもらい、あとはやってみてから、と手をうごかしていたら、予想どおり、ここはひっかかるぞ、というところをいくつもみつけた。
そこで、レクチャーをしてくれた高原さんに、さらにくわしく教えてもらいにきたわけだ。
これをちゃんとやっておかないと、いざワークサポーターさんたちが作業にとりかかっても、すぐに手がとまってしまうことになる。

 

「……はい、お聞きしたかったのはこれでぜんぶです。
ありがとうございました、また完成したらチェックをおねがいしますね」

 

ひととおり相談にのってもらって席にもどる。
教えてもらったことにしたがってパソコンをかちゃかちゃやり、画面ができたときにはもう夕方だった。

 

(さて、やり方はなんとなく見えたわけだけど)

 

わたしがやり方をわかっただけだと、まだ宇都宮さんたちにタスクをわたせない。

 

ツールをどれだけつかったことがあるか、システムにどのくらいさわったことがあるか。
集中タイプかおしゃべりタイプか。
あたらしいことを覚えるのはとくいかにがてか。

 

なにもかもがひとりひとりちがうチームで、全員がおなじようにタスクをこなせるようにするには、「いいかんじ」「なんとなく」をできるだけなくさないといけない。
「いいかんじでやっといて!」とほうり出したら、作業にたいへんな時間がかかったり、できあがりが思っていたのとぜんぜんちがってしまったりする。

 

たとえば。
開発の人にかいてもらった、画面のレイアウトイメージをとり出す。

 

しかくやまるや文字のならんだその紙にペンを走らせる。
ここが検索条件、こっちは検索結果の一覧。
これはコードで、こっちは名前。
これはテキストボックス、これはチェックボックス、こっちはドロップダウンリスト。

 

システムを知っている人なら、絵を見ただけですぐに、ただしく判断できるだろうこと。
でも、世界じゅうのだれでもおなじようにできるか、といったらそうはいかない。
だからこういうふうに、だれがみてもわかるかたちにしておかないといけない。

 

それに、なにも知らない人にいきなり「テキストボックスつくって!」と言ったってだめだ。
「テキストボックス」ってどんなもので、ツールのどこをどうさわったら作れるのか、わかりやすく、かつ時間をかけすぎずにまとめておいて、説明しないといけない。

 

目の前の仕事を切りわけて、それをどう伝えるか考えて。

 

そんなことをしていると、あっという間に1日が終わった。

 

・・・

 

とってもながくなってしまいましたので、宇都宮さんたちの奮闘は後編で。(後編はこちら

(この記事は、当社の取り組みを元にしたフィクションです。
登場人物・エピソードはすべて、“まふゆさんの中の人”の創作です)

 

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この記事を書いた人

まふゆさん

“まふゆさん”の中の人。
大阪オフィスの管理部門でこつこつ働きつつ、
ときどき社内ライター兼校閲ガールを務める。
本とお酒とNHK Eテレ「きょうの料理」が好き。

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