在宅勤務中のケガ、労災の対象になりますか?

シャローシのお仕事, 働き方改革, 人事・労務

「あれっまふゆさん、今日は出社予定じゃなかったですっけ?」

新型コロナウイルス感染症のために緊急事態宣言が発令されて以来、原則全社員テレワークでの勤務を続けている当社シナプスイノベーション。

けれど扱う仕事によっては、ときどきオフィスに顔を出すことがあります。
私も今日は大阪オフィスに出社しています。

昨日、他の方の出社予定を確認して、久しぶりにWeb越しではないリアルなまふゆさんに会えそうだと楽しみにしていました。
ところが、いつものとおりWeb朝礼が始まってみると、まふゆさんは自宅からの参加だったのです。

「そうだったんですけれど……実は足の骨を折ってしまいまして。しばらくの間、オフィスへの出社を見合わせることになりました」

「え、骨折ですか。それは、いつ、どこで?」

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在宅勤務であっても企業との雇用契約に基づいて働く限り労災保険は適用されますので、自宅で負傷した場合でも、労災(業務災害)が適用される場合があります。

業務災害ですから、業務と負傷との間に一定の因果関係があることが条件です。
例えば、在宅勤務中に、業務に必要な資料を取ろうとして転倒してしまったケースであれば、業務を行うための行動が原因で負傷したのですから、通常は業務災害と認定されるでしょう。

一方で、業務との関連性が認められない私的な行動が原因で負傷した場合は、当然ですが業務災害としては認められません。
例えば、休憩時間中に、昼食を作っていてやけどしたようなケースは、業務災害とはなり得ません。
また、業務時間内であったとしても、個人宛の私的な宅配物を受け取る際に負傷したというケースであれば、業務との因果関係がありませんので、同じく業務災害とはならないでしょう。

ただ、業務時間内にお手洗いに行くため離席し、戻って椅子に座ろうとしたときに転倒したケースでは、業務災害が認められています(※)。
業務に直接関係がなくても、お手洗いのような生理的行為等を業務時間中に行った場合に関しては、業務に付随する行為として取り扱われています。
※厚生労働省「テレワークにおける 適切な労務管理のための ガイドライン」より

在宅勤務では業務と私的な行動とが同じ時間に発生することもあり得、明確に区別することが難しいと言われていますが、万が一の労災発生時にはそれが業務中に起こったことなのか、業務に関連して発生した事故なのか等を証明する必要があります。
そのため、業務の状況や途中離席の時間等を都度記録して、明確に分けておくことが望ましいでしょう。

もちろん、労災を未然に防ぐため、事故が起きない環境を整えていくことが何よりも大切になります。

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「そういえばオフィスでは、配線に足を引っかけないようにカバーがかけられていたり、高いところから物が落ちてこないように備品の置き場所が工夫されたりしていましたよね。
同じように、自宅でも働きやすい環境作りが必要ということですね」

「そうですね。在宅勤務中の安全確保については、会社側からも働きかけを行うべきでしょうが、さすがに個人の自宅に立ち入ることまではできません。
自宅であっても、いまやここは職場でもあるとひとりひとりが意識して、しごと環境を安全に整えることが必要になってくると思います。

で、話は戻りますが、まふゆさんの骨折はいつ、どこで?」

「自宅ですけれど、仕事を終えた後の時間です。
夜ご飯食べて、晩酌をして、いい気分で明日の栗ご飯のことを考えながら部屋を移動していたら、バランスを崩してしまって。
あ、在宅勤務で筋力が衰えたせいかも。もしかして、これって労災……」

「在宅勤務で筋力が落ちた事を理由とする労災の話は、まだ聞いたことがありませんね……。
完治したら、通勤がなくなった分浮いた時間を使って適度に運動をするように心がけてくださいね」

※労災の認定は地域の労働基準監督署にて行われます。
災害の発生状況やそこに至るバックグラウンドはそれぞれに異なるものですので、
全て個別に判断されます。迷うケースは労働基準監督署にご確認ください。

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浅尾
この記事を書いた人

浅尾 美佳(あさお みか)

食べてしゃべって走る、特定社会保険労務士。
使命は社内平和と世界平和。
ジョージ・クルーニーの嫁に憧れています。

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