製造業の在庫を適正にするには?
おはようございます。
シナプスイノベーション 営業本部・中里です。
今回は、製造業の在庫の話です。
在庫とは将来販売するために企業が持つモノ
在庫とは、将来販売するために企業が持つモノのことです。
会計上では、棚卸資産の一部となります。
「在庫」と一口に言いましたが、ここに含まれるのは完成した「製品」だけではありません。
・製品(完成品)
・半製品(製造途中だが、そのままで販売可能なモノ)
・仕掛品(製造途中で、そのままでは販売できないモノ)
・原材料/部品(モノを製造するために必要なモノ)
が含まれます。
在庫調達には
定期発注方式、定量発注方式、補充点方式の3つがある
製品、半製品、仕掛品は、自社で製造するモノですが、原材料/部品は、どこかから調達する必要があります。
では、その調達の仕方にはどのような方式があるでしょうか。
いくつかある中から、3つを紹介します。
・定期発注方式
一定の期間(月・週など)ごとに、次の発注までの在庫の需要を予測して、その予測に基づいて発注量を決めて、発注する方法です。
発注するサイクルは一定で、発注量が毎回変わります。
精度の高い在庫管理が可能ですが、管理に需要を予測するなど手間がかかります。
・定量発注方式
在庫が一定量にまで減ったらその時点で一定量を発注する方法です。
発注量は一定で、発注する間隔が毎回変わります。
定期発注にくらべて、管理に手間のかからない発注方式です。
・補充点方式
一定量を使用したら、その分だけ発注する方式です。
欠品すると影響が大きいモノの管理に向いている方式です。
在庫量は多すぎず、少なすぎず適正にするのが良い
原材料/部品を調達するとモノが来ます。在庫になります。
原材料/部品を使って製造をすると製品ができます。在庫になります。 調達、製造を控えめにしておけば、在庫は少なくなります。
どんどん調達、製造すれば、在庫は多くなります。
さて、在庫は少ない方がよいのでしょうか?
それとも多い方がよいのでしょうか?
在庫が少なすぎるとどうなるでしょう。
製品が少ないと品切れが発生し、機会損失が増加します。
また、信用度の低下を招くことにもなります。
製品も原材料/部品も少ないとき、それらを上回るだけの注文が来たとします。
すると、注文に応えるためにはまず原材料/部品の調達からはじめることになるので、かかる時間が長くなります。
なんとか時間を短くしようと緊急調達をすると、通常の調達に比べて価格が割高になるケースがあります。結果、製造原価が高くなります。
では、在庫が多すぎるとどうなるでしょう。
一般的に、在庫は長く置いているうちに品質が劣化し、商品価値が低下します。
または、モノ自体が時代遅れとなり(陳腐化と言います)、商品価値が低下します。
すると、値下げして販売するか廃棄するということになります。
利益が得られないだけではなく、投資の回収すらできず、損失が発生し、収益の悪化を招いてしまいます。
在庫は棚卸資産の一部、つまり、企業の資金が在庫というモノに形を変えたものです。
在庫を抱えるということは、自由に使える現金という資金が減る、つまりキャッシュフローが減少するということです。その企業の資金繰りを圧迫してしまうことになります。
現金としてもっていれば、流動性も高く、ほかへの投資や資金運用もできます。
ですが、在庫として資金を固定化してしまうと、現金としてあった場合に得られたであろう利益はゼロとなり、金利の負担はより重くなります。
事業を継続するためには、ある程度の在庫を戦略的にもち、売上・利益の増加を図ることが必要です。
一方、在庫維持費用の増加やキャッシュフローの減少など、金銭のやりくりにかかわる問題は、在庫を扱う現場では見過ごされていることも多いです。
しかし、在庫が過剰になった場合にこのような悪影響があることも、認識しなければなりません。
つまりは、在庫量は少なすぎず多すぎず、適正にするのが良いということですね。
受注生産・見込み生産
それぞれの生産方式によって在庫の状況が違う
ざっくりと製造業といっても、生産しているモノ、生産のやり方は、一社一社違います。
では、生産方式によって在庫の状況は違うのでしょうか?
大きく2つに分けてみてみましょう。
・受注生産
完全な受注生産、つまり受注をうけてから、原材料/部品のの調達を行って製造する方式であれば、在庫は必要ありません。ゼロです。
ですが、実際には多くの場合、受注の際に、いつまでにほしいというお客様の要求があります。
5日でほしいという要求なのに、原材料/部品の調達に7日かかったら間に合いません。受注を逃してしまいますね。
ですから、ある程度の在庫は持っておく必要があります。
どれだけ持つべきかは、調達のリードタイムや、製造のリードタイムによります。
時間の概念を、在庫管理に組み込むことが必要ですね。
・見込生産
売れることを見越して、見越して見込みで生産する場合、作ったモノがすぐに全て売れるわけではなく、当然、在庫ができます。
しかし、あまりに作りすぎると、在庫が多すぎることによる悪影響がでます。適切な在庫量を計算するには、いつどれくらい売れるのか、市場の需要を予測することが重要です。
こちらも時間の概念が必要ですね。
現在と未来の在庫数を予測して
必要なときに必要なだけ調達・製造できるように管理する
時間の概念を考慮して在庫管理をするにあたっては、有効在庫という考え方も必要です。
「有効在庫」とは、現時点の在庫に未来の入庫数、出庫数を加味した在庫数量です。
原材料/部品なら、
現在庫 + 発注残 - 引当済在庫 で表されます。
製品、半製品、仕掛品の場合は、
現在庫 + 生産残 - 引当済在庫 となります。
「発注残」とは、発注して、まだ手元には届いてないけれど、届いたら使用可能となる在庫のことです。
「生産残」は、生産の指示をして、まだできあがっていないけれど、できあがったら使用可能となる在庫のことです。
どちらも未来に使えるようになる在庫ですね。
一方「引当済在庫」とは、すでに在庫を使用することが決定しており、その使用に備えて予約された在庫のことです。
誰かが予約した在庫は、他の人は使えません。
いまどれだけあって、将来どれだけ必要で、将来どれだけある予定なのか。
在庫は、未来を予測して、必要な時期に必要なだけ調達・製造できるように管理することが重要なのです。
たくさんのモノを作る中で、何もかもを人の手と頭で管理するのは大変ですよね。
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中里 真仁(なかざと まさひと)
宝塚歌劇をこよなく愛する生産管理&経営管理コンサルタント。
神戸生まれの神戸育ち。海を眺め、山へ登ることが好き。
関心あること、感心したこと、歓心を得た事を綴ります。